24鍵譜面の作成方法(前編)

BmsONE beta 0.2.1からキーボードモード(24鍵)の編集とBMSのインポートに対応しました。早速BMSの24鍵差分譜面の作り方を説明します。

既存BMSの24鍵以外のBMSON差分を作る場合にも参考にしてください。

基本の流れ

まず、最新のBmsONEの64bit版をインストールしておきましょう。 32bit版でも編集はできますが、比較的容量の大きなBMSをインポートすると落ちてしまいます。 メモリは最低でも4GB以上あった方がいいです。

1. BMSのインポート

BMSON形式で一から作る場合は飛ばしてください。

BmsONEを起動してBMSファイルをドロップするか、[ファイル] → [開く] で右下のフィルタを「BMSON」から「旧BMSファイル」に変更してBMSファイルを選択します。 基本的にNORMAL譜面を選択するようにすると、メインメロディーをそのまま演奏させるものが多いのでノーツ配置時に楽をすることができます。

テキストエンコーディングの選択では、選択肢ごとにプレビューが表示されるのでタイトルなどが正常に表示されるものを選びます。 Windowsを日本語で使っている場合は基本的にデフォルトで構いません。他の環境の場合には「Shift-JIS」を選ぶことになります。 一部の海外製のBMSではUTF-8エンコーディングされているものがあるかもしれません。

ゲームモード(鍵盤数)の選択では、そのまま「次へ」を押せば大丈夫です。「!」の付いたモードをは規定のレーン数から溢れるノーツが存在することを意味します。

何もエラーが出なければインポート成功です。完了後しばらく画面が操作できなくなる場合がありますが、これはWAVファイルを読み込んでいるためなので少し待てば復活します。

インポートが完了したら、「情報」ビューのモードで keyboard-24k を選びましょう。

2. ノーツの配置

BmsONEには編集モードと書込モードの2種類のモードがあり、差分作成では基本的に編集モードを使います。 編集モードでノーツをドラッグすると横方向に移動することができます。 BGMレーンに移動したり、BGMからプレイ可能レーンに移動するにはダブルクリックまたは数字キーを押す必要があります。

24鍵では 音が鳴っている通りの鍵盤に配置する のが大原則で、これが特有の演奏感を支えています。 したがって、譜面作成者が行うべきことは独創的な配置を考えることではなく、演奏させるパートの選定と、2オクターブに収まらない場合の対処、必要に応じて和音を簡略化したりノーツを間引いたりして難易度調整することとなります。

以下のような方法で各ノートの音を把握して配置しましょう。

  • MIDIシーケンサDAW、あるいは実際の楽器などを使って音を出し、ノーツと比較する。
  • 各ノーツのファイル名に _c_d# などの接尾辞が付いている場合、何の音かを表している可能性があるので参考にする。

ある程度相対音感があれば、最初のほうの音を確認しておけば後は要所要所で再確認するだけで済むと思います。

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鍵盤の左にある赤い2列のレーンはホイールのUP/DOWNです。 7鍵のスクラッチのような感覚で配置するとひどいことになるので、曲の中でひときわ目立っている、どうしても演奏させたい音で鍵盤に置きにくいものだけを配置するようにしましょう。 ほとんどおまけみたいなものですし、デバイスによっては拾いにくいので迷う場合はホイールなしの譜面にしてしまった方が良いでしょう。 グリッサンドが一つのノートにまとめられたものはよくホイールに配置されます。*1

また、鍵盤部分を片手でプレイするスタイルが一般的なため、1オクターブを大きく超える同時押しなど両手プレイが必須になるような譜面は避けたほうが良いでしょう。 同時に複数パートを演奏させたりしなければほとんど問題は起こらないですが。

3. 各種情報の設定

まず、タイトルやサブタイトルの最後に [ANOTHER] などの譜面名が付いている場合はそれを消し、代わりに 譜面名 の欄に差分の名前を書きます。括弧は付けずに単に 24key などとします。

次に、BMSON仕様ではサブアーティストの記述方法を 項目名:名前 の列と定めているので、 chart:自分の名前 という行を追加しましょう。

判定ランクやトータル値は基本的に100を設定しておけば問題ありません*2。 ただし、曲が長い場合はトータル値を少し多めに、短い場合は少なめにしておくと良いかもしれません。 レベルは現在の難易度表に沿って付けていただけるとありがたいですが、今後基準を変更する可能性はあります。目安はKMのREAL難易度+2です。

4. プレビューとテストプレイ

譜面配置の合間に少し確認するだけならば、鍵盤レーンの左にある波形が表示されている部分を長押しすると全パートの音をプレビューできます。 配置が完了してから本格的にプレビューやテストプレイを行うにはbeatorajaを使います。

beatorajaを外部ビューワとして登録するには、以下のページを参考にして下さい。

External Viewer Settings - BmsONE Wiki

github.com

プレビュー(オートプレイ)やテストプレイ(Practiceモード)を繰り返し、配置ミスや理不尽な配置がないかどうかを確認しましょう。 簡単な譜面の場合、あらかじめDAWを起動しておいてオートプレイしながら鍵盤を弾き、音がずれていないか聴くことでも確認できます。

その他

ロングノートを編集するには

編集モードではShiftを押しながらノートを上下にドラッグすることでノートの長さを編集できます。 ノーツを選択すると現れる「選択オブジェクト」ビューで「長さ」に直接数値を入力することもできます。

必要なチャンネルのみ表示するには

BMSは通常WAV数が多いのでBmsONEで横にスクロールするのが大変です。 そこで、Ctrl+Fを押すと出現するチャンネル検索バーを利用します。

  • 入力欄にWAVファイル名の一部を入力してEnterを押すと該当するチャンネルに移動する
  • 「活性チャンネルのみ」を有効にすると、表示中の時間領域のどこかで音が鳴っているチャンネルのみを検索対象にする
  • 「検索結果のみ表示」を有効にすると、検索にヒットしたチャンネルのみ表示する

したがって、入力欄には何も入力せず2つのボタンを有効状態にしておくと鳴っているチャンネルだけ画面に表示させることができます。 さらに、一つのパートの配置に集中したい場合はこの状態から入力欄に名前の一部を入力すると便利です。

beatorajaで正常に再生できない場合

以下の原因が考えられます。

  • 存在しないWAVファイルなどを参照している場合(参照ファイル名が空白の場合を含む)、一部の音が正常に再生されなかったり強制終了したりする可能性があります。無音キーが用いられている場合にこうなることがあるので注意してください。
  • BGAが一部乱れて表示される場合、元のBMSもbeatorajaで正常に表示されるか確認してみてください。同様の症状が出る場合は、beatorajaが対応していないビットマップファイルが用いられている可能性があります。

それでも原因が判明しない場合は、BMSをBMSONに変更した直後(24keyにする前)の状態で再生してみる、BGAを非表示にしてみるなど試してみてください。

BmsONEの制限

  • 地雷ノーツの変換には対応していません。
  • 不可視ノーツの変換には対応していません。
  • ストップシーケンスの変換には対応していますが、BmsONEの画面には反映されません。したがってBmsONE上では停止位置から音がずれることになります。
  • BGAの変換には対応していますが、BmsONEで編集・確認することはできません。
  • ストップシーケンスやBGAは編集できなくても保存はされるので、プレイヤーで再生してみて問題なければ大丈夫です。
  • なるべく元のBMSの分解能を維持するように変換しますが、BmsONEで編集できないようなとんでもない分解能の場合は簡易化します。変拍子、連符、その他まっとうな理由で分解能が大きくなっているものは大体正しく変換できるはずです。

他のツールを使ってBMSをBMSONに変換する場合の注意

bms2bmsonを使う場合は、以下のことに注意してください。(BmsONEのインポート機能を使う場合はこれらのことは気にしなくて大丈夫です。)

  • テキストエンコーディングが合っているかどうか。問題があれば、BMSファイルをテキストエディタUTF-8で保存しなおしてから変換します。
  • 高い分解能を必要とするBMSは変換によって分解能が低下してリズムが若干ずれる可能性があります。
  • 元のBMSBGAのミス画像の指定に #BMP00 が用いられている場合、手動で設定する必要があります。しかもBmsONEは現在BGAの編集に対応していないので、テキスト編集を行う必要があります。
  • 以下の情報欄を必要に応じて補充・修正します。
    • 「サブアーティスト」: #SUBARTIST
    • アイキャッチ画像」: #STAGEFILE
    • 「タイトル画像」: #BACKBMP
    • 「バナー」: #BANNER
    • 「判定ランク」: 100を標準の値として設定
    • 「トータル値」: 100を標準の値として設定
  • 不可視ノーツはBMSON仕様にないので変換できないのですが、目印として「(何もしない)音を切るノート」に変換されるようです。再生に支障を来すことは稀だと思われますが、問題があれば消してください。

BMSONファイルが巨大になってしまったら

譜面配布時には圧縮すると思うのであまり気にする必要ありませんが、もし気になるようでしたらBmsONEの環境設定でJSON保存フォーマットの「Compact」を選択して保存しなおしてください。


後編では、譜面作成のポイント、2オクターブに収まらなかったときの対処法などを解説します。

*1:もちろん、グリッサンドが単音ごとに収録されている場合は(難易度が許せば)鍵盤に階段状に配置することになります

*2:判定ランクは元のBMSのRANK命令を元に自動で設定してあります